2012-02-20

「クイズ☆タレント名鑑」松島トモ子邸で未公開VTR

「クイズ☆タレント名鑑」2012年2月19日の企画は「訳あり未公開VTRを番組終了だから大公開SP」。
我が家のブルーレイレコーダに表示されていたEPGによると以下の内容だ。

「訳あり未公開VTRを番組終了だから大公開SP」松島トモ子宅に初潜入▼村田兆治の今の速球の限界▼クズ企画…田舎でモノマネ芸人Q▼神取忍の限界▼あかつの結婚に密着

なんでしょうこの激しいごった煮感。
平成24年の日曜の夜8時に大TBSで「松島トモ子」とか「あかつ」を全面的にフィーチャーする番組って何なのよ。
恐れを知らないというか、端から勝負をしにいっていないというか、まあ、これぞタレント名鑑なわけで。そんなタレント名鑑にボクはすっかり夢中になっていたわけで。父さん…ボクは今…この番組が打ち切られるのを未だに信じられないわけで。

まあ、「北の国から」ごっこはこれくらいにして、未公開VTRを順番に見ていこう。


▼村田兆治の今の速球の限界

孫をベタベタに甘やかす三文安の婆さんのごとく、タレント名鑑のすることなら何でも許してしまう私だが、これはいかん。この構成はだめだ。
そもそも村田兆治を紹介するにあたって「ジョーブ博士」「プロ野球投手として初の肘の手術」「激烈なリハビリ」この3つのフレーズ抜きはありえん。あれ? 「まさかり投法」というフレーズは出てたかしらん。ドスンと落ちる重いフォークについても触れなかったよな。

肘の手術からリハビリを経ての「サンデー兆治」だからね。
これは当時のピッチャーの先発ローテーションの中4日、中5日ではなく、大事をとって中6日で登板させていたということ。日曜に登板する村田見たさに川崎球場にファンが押し寄せてたのをこのクイズを作った人は知らないんだろうなあ。いや、知っていたけど視聴者にとってはどうでもいい情報と判断したのかもしれんなあ。川崎球場前には村田の半生を語る紙芝居まで出たんだよ。

辛く厳しいリハビリに耐え抜いたのも、スピードガンに文句を言ったシーンでスタジオで言われた「面倒な人だな」に繋がるんだよね。とにかく真面目で頑固な男なんだよ。自説を語らせたら長いしね。
速度120キロを越える村田の重い球を捕るのは大変なことだし、地面をえぐる村田独特のフォークボールを捕るのはさらに大変。このロケで50球以上も捕り続けたキャッチャー役の人は偉いのだ。
回答者に村田やロッテやパ・リーグに興味のある人がいなかったようで、129キロという球速がどれほどのものなのか特に伝えようとしてくれなかったのもガッカリだ。

なにより「晩年は日曜日にのみ登板するサンデー兆治として野球ファンに愛された」というナレーションが気に入らない。
一般的に「晩年」といったら死ぬ前の時期のことだよ。

……と、無闇に大騒ぎしてみたが、実はわたくし、父譲りのオリオンズ贔屓で40年来の村田兆治ファン。学生時代は進路に関する書類や履歴書の「尊敬する人物」の欄に「村田兆治」と書いていた者なのである。
今でもジャニーズのアイドルや少年野球の坊や達相手にマウンドに立ち、手を抜くことを知らずに120キロ越えの速球で真剣勝負を挑んで勝ってしまうような大人げない村田の凄さと面白さがもっとわかりやすく伝わる方法があるんじゃないかな、とも思ったけれど、そもそもMCの淳がプロ野球にまるで興味がない様子。
たとえばとんねるずとかウッチャンナンチャンとか野球好きのMCの番組なら違ったアプローチになっていたかもしれないが、これはこれで淳のカラーなのでOK。
130キロを越えられず悔しがる元気な村田の姿が見られて良かった良かった。


▼クズ企画…田舎でモノマネ芸人Q

これは「田舎に泊まろう」風のロケでものまねタレントが地元の人達を何人騙せるかを競うという見ていて胸が痛くなる企画。
前回はビートたけしのそっくりさん「ビトたけし」、清原和博のそっくりさん「リトル清原」、和田アキ子の扮装をした「マロン陵」が挑戦したが、幅広い層に知名度の高いビートたけしでは騙しにくいし、リトル清原は本物に比べてあまりにも小さい。マロン陵にいたっては、和田アキ子を専門にものまねしているわけではなくどこからどう見ても明らかな偽物。

今回登場したのは、キャイ~ンのウド鈴木のそっくりさん「ウドの鈴木」、ペ・ヨンジュンのそっくりさん「ぺよん潤」、石原裕次郎のそっくりさんの「ゆうたろう」。
ウドの鈴木は背格好も喋り方も全てビックリするほどそっくりだし、今どきペ・ヨンジュンというのがまず可笑しいし(しかも結構騙されてるし)、ゆうたろうのクオリティは高いけどだってホラ石原裕次郎ってだいぶ昔に亡くなってるじゃないの……という案配で、そっくり具合や笑いのバランスもよく、むしろ未公開分の今回の方が出来が良い気がしたのだった。ほんの若干だけどね。


▼神取忍の限界

最近は古賀シュウのデフォルメの利いたものまねでお茶の間にはおなじみだが(おなじみなのか?)、その強さと見かけのいかつさから「ミスター女子プロレス」「女子プロレスラー最強の男」とも呼ばれて格闘技ファンから愛されている選手。この人はプロレスラーとしても一流だけど、プロレス入りする前に柔道家としてもかなりの成績を収めてるんだよねえ。バラエティにも気軽に出演し、コワモテだが可愛らしい面もちょいちょい見せる快男子、じゃなくて快女子なのである。

今回、神取が挑戦するお題は「神取忍 目隠しで技を当てる限界は?」。
目隠しした神取に後輩レスラー・井上貴子と遠藤美月がいきなりプロレス技をかけてその技の名前を答えさせるという無茶すぎる企画である。
わざわざ回答ボタンまで用意してあり、気の毒な神取は技をかけられ倒れるたびにいちいち立ち上がってボタンを押しにいかなければならないのだ。
目隠しをされたまま無抵抗で足蹴にされたり殴られたりする様はあたかもリンチを受けているようだが、そこはなんといっても神取である。ミスター女子プロレスである。技をかける井上もベテランなので安心して見ていられるのだった。

プロレスファンにもおなじみのポピュラーな技の名前が幾つか思い出せないアクシデントもあったが、結果は50問中41問正解。というか、この企画、本来は現役を引退した人が現役時代に出来ていた事をどれくらい再現するかを確認するクイズなのでは? そもそも神取は今でも現役のプロレスラーだよ。
あまりにも破天荒な企画ではあったが、いざ見てみるとジェントルな神取の人柄がにじみ出る好クイズに仕上がっていたのだった。


▼あかつの結婚に密着

これはもう、長い間、毎週タレント名鑑を見ていた視聴者にのみ理解できる、いや、そんな視聴者でも理解できるかできないか、どちらかというとギリギリで理解しそびれる謎の企画である。

簡単に説明すると、「あらびき団」等で「スモササイズ」というネタで注目を浴びた芸人・あかつが、タレント名鑑の「ガチ相撲トーナメント」という企画で敗れはしたものの善戦したため、「相撲バカ一代~村一番の力自慢を倒せ~」という往年のスポ根ドラマ風の企画で、日本各地の相撲巧者の胸を借りて修行する、というもの。全然簡単じゃなかったけど。

難しいことは抜きにして、まあ、見てくださいよ。
題して「第四話 あかつの人生をかけた一世一代の大勝負」。

「どうしてあかつは最初は浴衣を着ていたのにいざ話の本題に入ると浴衣を脱ぐのか」とか「脱いだ浴衣を背広のように腕にかけているのは何故なのか」とか「なぜあかつは角刈りなの?」とか「突然登場した三河幕府の皆さん」とか、次から次へと「相撲バカ一代」ビギナーがどんなに考えても解けっこない謎が怒濤のごとく押し寄せるわけですよ。

さらに「結婚の許可を得るため彼女の両親に会ったら収入面でまだ早過ぎると言われたので、あかつが相撲で勝負をしましょうと提案したらすんなりまわしを締める父」とか「彼女に内緒でバイトでお金を貯めて買った大事なエンゲージリングを清めの塩に隠していたのでいざ手渡そうとしたらケースが塩だらけ」とか「あっという間に結婚式をあげていた二人」とか「若手芸人にしては桁外れに規模の大きい披露宴」とか「披露宴でまわし一丁のあかつ」とか、もう、毎週見ているコアなタレント名鑑ファンですらワケのわからない展開。

さて、派手な披露宴に関して、VTR中からおぎやはぎやFUJIWARAから「若手芸人が出来るような式ではない」「お金どうしたの」等の疑問の声があがっていたが、それを受けた淳の答えはコレ。

「お金ですか……お金は…(カンペを見て)あ、親が議員です」

あかつの所属事務所が大手のオスカープロモーションだから? いや、もしかして番組が式の費用を出した?…といった視聴者の予想などあっという間に粉砕された意外すぎるオチ。
ちなみに、検索したところ、あかつの出身地の本名と同姓の議員がヒットしたので、たぶんこの人があかつパパであろう。

動物ロケでもスタジオの回答者としてもタレント名鑑的に充分戦力となっていた松島トモ子、今回の自宅ロケでも全く問題なし。出すぎず黙りすぎずバラエティ的にいい感じのキャラクター。
そこらのありきたりなバラエティだと、天然ボケのトンチンカンな返しとか逆にオバサマならではの歯に衣着せぬ毒舌コメントとか求められるのかもしれないが、下にして衆だが卑ではないタレント名鑑ならこれでよし。
黒澤明の「天国と地獄」に出てくるような、いかにも“昭和のお金持ちの家”といった趣きの松島トモ子邸に10点さしあげる。【み】