2012-02-19

「カーネーション」聡子の進路

優子・直子姉妹の強烈なライバル関係は、昨日に引き続き優子優位、いや、デパートの支配人や中年の女性客まで取り込んで今や優子無双の状態。
母親の糸子のナレーション曰く“無敵の外面”。まるで直子を雇っている女主人のように堂々としている。
直子は内心相当イライラしているだろうにぐっと我慢している様子だったが、つい目に余って「そんなに客に媚びなくていい、自分の作品を理解してくれる人にだけ着てもらえばいい」と言ったら優子に頭を引っぱたかれた。

それにしても、直子の店に来る客の話し方がみな不自然なのが可笑しい。まるで東京を馬鹿にしている関西人が東京弁を揶揄して真似をしているみたい。BK制作おそるべし。

優子はこのまま東京に居着いてしまうのだろうか。
そして、デパートの支配人の信頼というチャンスを生かしてデザイナーへステップアップしていくのだろうか。
まあ、今は直子には真似できない「誰にでも笑顔で人当たりよく接客」という強力な武器で圧勝しているわけだが、そもそもデザイナーとしての才能は直子が上なのは優子も承知しているのだ。いくら直子の店に助っ人してやったという恩があろうとも、こればかりはどうにもならない。
優子が笑うと直子が泣く。直子が笑うと優子が泣く。次はおそらく直子のターン。いや、ぜひとも直子のターンであってほしいと思う直子贔屓のわたくし。

一方、岸和田の聡子である。
テニスで大阪を制したばかりでなく近畿大会でも優勝し、なんと全国大会に進出だ。
今は木之元夫妻が切り盛りしている喫茶店「太鼓」で商店街の皆さんが集まって激励会。しかしその場に糸子の姿はない。
そして、とうとう全国大会でも優勝してしまった。
優子と直子は大喜び、もちろんいつもの商店街の皆さんも大騒ぎ。東京から帰ってきた聡子を「祝日本一 小原聡子選手」の横断幕でお出迎えだ。
当然、木之元の「太鼓」で祝勝会である。木岡夫妻もいる。八重子もいる。だけどまた糸子はいない。
いつも通りにニコニコしているけれど、若干寂しげな表情を見せる聡子。
その晩、徹夜で仕事をする糸子のミシンの音を聞きながら、布団の中でパッチリと大きな目を開けて何事かを考えている。

自分の部屋に糸子を呼び出した聡子。「今日限りでテニスをやめる」と言う。
「せっかくここまで来たのに」「実業団にだって入れるかもしれないのに」「もったいない」と驚く糸子。

「もう、さみしい。さみしいさかい」

涙腺決壊。聡子切ない。

台所の千代にも報告。やはり驚く千代に「もう全国一位獲れたよって」。
そしてテニスをやめたら何をするのかという問いに、「決まってるやろ? 洋裁や」と聡子は明るい表情で応える。
「そら、うちはお母ちゃんお姉ちゃんらもみんなそればっかしや。ウチだけずっと仲間はずれだったんや。やっとや。こんでやっと仲間入れる」。

素朴で清潔でいつも笑顔の聡子。
中学の頃からずっとテニスで活躍してきた有力選手なのにまるで驕ることなくただニコニコしている聡子。
なんでも美味しそうにぱくぱく食べる聡子。
家族のもめ事があると自分の大事な話をしそびれる聡子。
優子と直子の大喧嘩にも我関せずで静かにしている聡子。

これからはもう仲間はずれじゃない。みそっかすじゃない。オハラ一家の立派な一員だ。
ファッションの道に進んで糸子に山ほど誉められたり叱られたりすればいい。
成長した聡子がどうなってしまうのか不安ではあるけれどとにかく頑張れ。出来ることなら今のまま健気で素朴な聡子でありますように。

ところで、聡子が優勝した夜、直子のアパートで同期の男子3人組の小沢が盆踊りのようなモノを唄っていたが、もう一度見直してみたところ、吉村の口の動きからすると渡辺マリの「東京ドドンパ娘」のようだった。てっきり「ドンパン節」かと思ったよ。
彼らは「ン」に強いアクセントがくる「ドド・ンッパ!」のリズムが取れずに、なだらかに「ドドンパ! ドドンパ!」とがなるだけ。ダンスも前のめりの「パパンがパン」じゃなくて、「パ!」で後ろに反ってほしいよね。【み】

渡辺マリ「東京ドドンパ娘」(1961年のヒット当時の映像ではなく1983年のもの)